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2026.04.15

自転車でつながる「縁」を地域と分かち合い、備後エリアの未来を創るプロ自転車競技チーム「備後しまなみeNShare」

自転車を通じてより良い地域社会をめざすプロ自転車競技チーム

「備後しまなみeNShare(エンシェア)」は、福山市を中心とした備後エリアを拠点に活動しており、全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)主催の国内最高峰リーグ「Jプロツアー」に参戦するサイクルロードレースのプロチームです。また、競技活動に加えてサイクルスポーツの普及や地域振興などの活動も行っており、交通安全啓蒙活動、農園の運営などを展開しています。

2026年3月現在、eNShareには選手が11人所属しています。ほかに交通安全指導者1人、各種スタッフ9人という構成です。

代表の宮口 直之(みやぐち なおゆき)さんは、「eNShareは、自転車競技・交通安全啓蒙・サイクルツーリズム・社会連携の4本柱を基軸にしています。自転車で繋がるご縁を大切にし、ご縁をシェアして、楽しみをシェアすることが名称の由来です」と話します。

地元のために自転車を通じた恩返しを

代表の宮口さんは福山市新市町の出身で、中学・高校時代を通じて自転車競技に熱中したそうです。33歳だった2015年に、プロのサイクルロードレーサーとして活動を始めました。

やがて宮口さんは、自身の出身地を拠点にしたいと考えるようになり、備後エリアを中心に活動する「eNShare」の設立に至ります。2017年のことでした。

「ずっと、故郷のために恩返しをしたいと考えていました。当団体が、備後エリアを中心とした地元企業・団体からの協賛金で運営していること、さらに競技やトレーニングで公道を使用させていただいていることがその理由です。恩返しをするなら、自分が力を入れてきた自転車を通じて地域のためになることをしたいと思いました」

このような思いは、競技以外の幅広い地域活動につながっていきました。

地産地消の循環型柑橘栽培で耕作放棄地問題の解決に寄与

eNShareが地域振興・社会連携活動として行っているのが、農園「eNShareファーム」の運営です。eNShareがトレーニングでよく訪れるしまなみ海道周辺の島嶼部は、柑橘栽培が盛んです。しかし、農家の高齢化や人手不足による耕作放棄地の増加が大きな課題になっています。その対策として、eNShareが放棄地を使って柑橘を栽培・管理しています。

選手・スタッフが栽培に携わり、レモンや紅八朔などを無農薬で育てています。競技のオフシーズンと、レモン・紅八朔の栽培期間が近いのも理由だそうです。

「eNShareファームは、協賛企業で出た柑橘やリンゴの皮などの産業廃棄物を堆肥として与える循環型の農業が特徴です。収穫した柑橘は、地元のスーパーマーケットなどで販売して地域の方に届けることで、地産地消を実践しています」

自転車教室開催やハード整備の提言などで「自転車の似合うまち」をめざす

eNShareが競技以外で特に力を入れているのが、交通安全啓蒙活動です。なかでも自転車教室を積極的に開催しており、自治体と連携して備後エリアの幼稚園や小学校を中心に、毎月4回前後開催しています。2025年は37施設で全37回開催し、計3477人の児童が参加しました。

自転車教室は、宮口さん個人での活動時代を含めると、2015年から開催を続けているそうです。近年は、自転車で通勤する社会人が増えたことから、企業で自転車教室を開催することもあります。

「自転車は老若男女が運転できる、便利で楽しい乗り物です。一方で、一つ間違えれば大ケガをしたり、命を落としたりする危険もあります。正しい乗り方や危険の回避の仕方などを教えるのは、私たち自転車のプロとしての責務です。今後、自転車を取り巻く法律などが目まぐるしく変化すると予測されます。正しく楽しく自転車に乗れることで、自転車の普及につなげたいですね」

宮口さんは、自転車の普及と安全性の向上はセットで進めるべきものだと考えているそうです。そこでeNShareでは、福山市が掲げる「自転車の似合うまち 福山」を実現するため、市と連携して市内における自転車のハード整備に協力しています。

「eNShareだけの力ではありませんが、ここ数年で、市街地における自転車を利用しやすい環境の整備が進んだと感じています。例えば、市街の道路への自転車走行レーンの設置が進んでいるほか、JR福山駅には自転車組立場が設置されています」

ほかにも「しおまち海道サイクリングロード」の整備・利活用による観光振興をめざす「鞆の浦しおまち海道振興協議会」にも協力しています。しおまち海道を使ったサイクリングツアーを開催したり、危険箇所対策の提言をしたりしています。

「最近、休日には多くの方が自転車で走っている姿を見かけるようになりました。福山にサイクリストが増えたと感じ、とてもうれしく思っています」

夢は芦田川河口部から府中市までつながるサイクリングロード の整備

「スポーツチームですから、競技で日本一・世界一をめざすことが一番の目標です。しかし、私たちが競技活動に取り組むことができているのは、地域の企業に協賛してもらったり、公道でトレーニングをさせてもらったりなど、地域の方々の支えがあるからです。だから『地域への感謝を忘れない』ことを、チームの一人ひとりが肝に銘じています」

また、宮口さんは自分たちが活動することで、地域を元気に、より暮らしやすくしていきたいと言います。

「eNShareの設立初期、選手らは受動的に地域活動をしている面がありました。しかし、今では地域活動をする意味を理解し、自ら積極的に活動に参加しています。選手側から、改善点や新たな活動などの提案が出ることも多くなりました。これは、大きな変化だと感じています」

宮口さんが実現したい夢は、福山市の芦田川河口部から府中市までつながる、河川敷を使ったサイクリングロードの整備だそうです。

「これは自転車専用のバイパス道のようなもの。自転車通勤・通学の安全性を高めるとともに、通勤・通学時間の短縮による快適さの向上、ひいては地球環境にも寄与できるのではないでしょうか」と宮口さんは意気込みます。

備後しまなみeNShare

備後地方を拠点に活動している一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟 Jプロツアー加盟チーム。国内最高峰のサイクルロードレースリーグであるJプロツアーは全国から21チームが加盟して年間を通じて順位を争っています。
チーム名は備後しまなみエンシェアと呼び、「ご縁」を「シェア」から由来します。
当団体はプロツアーチーム(レーシングチーム)でありながら地域共存型のサイクルロードレースチームとして活動理念に「自転車で街を元気に」「自転車を活用した地方創生」を掲げています。
自転車のプロフェッショナル集団として、サイクルスポーツの普及、サイクリングイベントやサイクリングによる地域活性化、交通安全啓蒙活動、自転車のネットワークを活用した農業など、自転車の関わることのは多岐に渡り活動を行っています。

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